空き箱を捨てるおじさん

「空き箱を捨てるおじさん」の内容を描いたイラスト Urban Lifestyle (都市の断片)

押し入れを開けたら、空き箱が落ちてきた。

軽いから痛くはないんだけど、なんか腹が立つ。自分で入れたんだけどね。中身がない箱をしまうために場所を使って、その箱に攻撃されている。何をやっているんだろう。

電気製品を買ったときの箱を、わりと取っておくほうだ。最初は、ちゃんと動くか分からないし、返品することになったら必要だろうと思って残す。これは分かる。僕としても十分に納得している。
問題は、ちゃんと動くと分かってからも捨てないこと。今度は修理に出すときに使うかもしれないと思い始める。そんなことで何年も経つ。

先日落ちてきたのは、もう手元にない電気製品の箱だった。

本体は処分したのに箱だけある。さすがにこれはいらない。何を修理に出すつもりなんだ。
これなら迷わず捨てられると思って、押し入れの箱を全部出してみた。

大きい箱の中に小さい箱が入っていて、その中にさらに薄い箱が入っていた。昔の僕は結構うまく収納している。感心したけど、うまく入れすぎて存在を忘れていたんだから、あまり褒められたことではない。

箱って、開けると買ったときのことを少し思い出すね。ここにコードが入っていて、本体はこの袋に包まれていたなとか。もう一回きれいに収められそうな気がしてくる。収める必要はないんだけど。

特に困るのが、やたらしっかりした箱だ。
厚い紙でできていて、ふたがゆっくり外れるやつ。箱だけでも何かに使えそう。文房具とか、細かいものとか。
細かいものって何だよと思うけど、捨てるとなると急にいろいろ入りそうに見えてくる。

試しに引き出しに入れてみたら、微妙に高さが合わなくて閉まらなかった。こういうところはちゃんとしている。都合よく収納用品になってはくれない。

あと、売るときに箱があったほうがいいんじゃないか、というのもある。
実際にどれくらい違うのかは知らない。でも、箱ありって書けるのはちょっと強そうじゃん。

そう思って残している箱に入っていた本体を見たら、かなり使い込んでいた。傷もあるし、別に買い替える予定もない。僕はこれを使い切るつもりなのか、いつか売るつもりなのか。そのへんを決めないまま、箱だけ大切にしている。

とりあえず、手元にないものの箱と、明らかに使わない箱は潰した。
最初の一つはちょっとためらったけど、一回折り目をつけると早いね。さっきまで、よくできた箱だなと思っていたのに、今度は硬くて潰しにくいことに文句を言っている。僕の評価なんてそんなものだ。

だいぶ片付いた。押し入れの奥も見えるようになったし、物を出すたびに箱を押さえなくて済む。非常にいい。

ただ、ふたがゆっくり外れる箱だけは残した。
机の上に置いて、何を入れるか考えている。今のところ、潰した箱から出てきた説明書が入っている。

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