久しぶりに手書きで住所を書いたら、自分の字が思っていたより汚かった。
もともと上手な方ではない。でも、もうちょっと書けていた気がする。少なくとも、自分が住んでいるところぐらいは、迷わずスラスラ書けると思っていた。実際には、途中で番地を確認して、漢字の横棒が一本多いような気がして、最後は郵便番号でなんとか届いてくれと思いながら書いた。
毎日あんなに文字を打っているのに、書くとなると全然違うんだね。読めるし、画面に出てきたらそれが正しい字だとわかる。でも、何も見ずに書けと言われると怪しい。会議の「議」とか。言いたいことが多そうな字だなというのはわかるけど、細かいところまでは覚えていない。
仕事中もたまにメモは取る。ただ、自分しか読まないので、だいぶ適当だ。話を聞きながら急いで書くから仕方がないと思っていたけど、先日、電話が終わってすぐ見直したら、もう読めなかった。さすがに早いよ。まだ何も忘れてないはずなのに。
前後の文字から考えると「確認」だと思う。でも、確認なんてよく書く言葉なので、こんなに毎回違う形になるものだろうか。何を確認するのかは、書いてなかった。
そんなことがあって、少し丁寧に字を書いてみようと思った。
家にあったノートを開いて、とりあえず名前を書いた。名前なら何十年も書いているし、お手本を見なくても書ける。ゆっくり書くと、それなりにちゃんとした字になった。なんだ、書けるじゃん。
調子に乗って住所も書いたら、こっちはあんまりうまくいかなかった。最初の二文字ぐらいに場所を使いすぎて、後半が窮屈になる。紙はこんなに余っているのに、どうして自分で狭くしてしまうのか。
もう一度書こうとして、同じ住所ばかり書くのもつまらないなと思った。練習って、そういうことなんだろうけど。始めてからまだ三分ぐらいしかたっていない。
何かほかに書くことはないかと考えて、今日の晩ごはんを書いた。焼き魚、味噌汁、納豆。急に字が雑になった。別に誰に見せるわけでもないから、献立にそんなに気を使えない。
人に見せる字だけ上手になりたいんだな、僕は。
受付でさらっと名前を書いたときに、ちゃんとした人だと思われたい。そこまで思われなくても、字がきれいですねぐらいは言われたい。でも毎日練習するほどではない。都合がいいのはわかっているけど、できれば今の字を、少しゆっくり書くだけでどうにかしたい。
そもそも受付の人は、名前が読めればそれでいいんだろうな。こっちはちょっと格好をつけて書いているけど、向こうは次の説明をする準備をしている。
ノートには名前と住所と晩ごはんだけが残った。これを一ページ目にしてしまったので、次に何を書けばいいのか、よくわからない。
とりあえず焼き魚の横に「さば」と足しておいた。あとで読み返したときに、何の魚だったか気になるかもしれないし。字の練習を始めたことは、書かなかった。

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